環軸回旋位固定とは、頸椎の亜脱臼で環軸関節という首を回すときに使う関節の骨が、何らかの衝撃などでズレてしまい、うまく回せなくなる状態のことを言います。
7個の骨からなる頚椎の上から1番目の環椎と2番目の軸椎で構成され、左右の回旋運動を行う環軸関節の動きが正常な軌道からずれてしまい引っ掛かった状態となります。
多くは小児期・学童期にみられる疾患で、軽い症状なら数日で治ります。
環軸関節のずれが、なぜ子供に多いかというと、
環軸椎は、軸椎の前方上部に位置する歯突起が、輪状の環椎の前方に位置するようにはまる形になっています。
■症状
突然、首が傾いたままになったり、首を動かすと痛みが出たりします。
■発症原因
子供の場合、歯突起の形状が未成熟であり、さらに周囲の組織が柔らかいので亜脱臼しやすく、のどの炎症や炎症性疾患、ちょっとした外傷などで起こってしまいます。
■治療手段
比較的に経過が良いものが多くなるべく安静にして様子を見ますが、すぐに改善が見られなければ頚椎カラーを装着することもあります。
しかし、1週間以上同じ状態が続くような場合は入院することもあります。
また、回旋位が1~3か月も続くような症例ではハロー牽引やハローベストを装着することもあるようです。
そしてそれ以上続くような症例では手術も考慮するケースも出てきます。
環軸関節回旋位固定は、早期に治療を開始できれば、数日から10日程でよくなることが多いです。ところが、痛みを伴うような手技であったり、処置に至るまで長い時間がかかったり、患部に負担のかかるようなことをしてしまうと、筋肉や靭帯の緊張が強まり、なかなか治りにくくなることもあります。お子さんの頚が傾いたまま元に戻らない場合は、早急に専門家にかかりしっかりと判定をしてもらい、正しい初期治療を受けることがとても重要です。