肘内障(ちゅうないしょう)は、肘の輪状靭帯と橈骨頭がはずれかける、いわゆる亜脱臼を起こしてしまった状態のことです。手を引っ張るなど肘内障は子どもによく見られる怪我のひとつで、特に小学入学前までのお子さんに見ることが多いです。また、男女比でみると、女児にやや多い傾向があります。基本は、徒手整復術で治療します。治療後しばらくの間は再発しやすいため、注意が必要です。
■症状
肘内障を起こすと関節に痛みを伴うため、泣き出す子どもが多いです。また肘内障を起こすと腕が動かせなくなるので、片腕がだらんと下がった状態になります。肘をやや曲げた状態でお腹の近くに腕を持ってくると痛みが軽減することがあるため、こうした姿勢を好んでとることもあります。
痛みは肘に限局されるため肘を動かすのを嫌がりますが、その他の関節は問題なく動かせます。時間が経つと痛みは軽減しますが、関節や周辺組織の異常は残ったままなので患部を動かすのを嫌がるようになります。
■発症原因
小さい子どもの体は発達途中のため、肘の輪状靭帯と橈骨頭はしっかり固定されていません。そのため転ぶ、腕を強い力で引っ張られる、腕を掴んで何度も持ち上げるなど、ふとしたきっかけで亜脱臼を起こすことがあります。また、なかには寝返りをきっかけに肘内障を起こすこともあります。
■治療手段
亜脱臼した関節が自然に元に戻ることもあります が,多くは治らないので治療が必要です.関節を元に戻す処置(整復)は,外来で比較的簡単に麻酔をかけずにできることが多く,完全に整復されると,こども はすぐに肘を曲げたり手を使うようになります.しかし,幼児が一人で遊んでいたり,友達と遊んでいたりしている時などに起こると,けがをした原因がわから ないこともあります.このようなときは,肘の関節のまわりの骨折や鎖骨の骨折などがないか,注意深く診断する必要があります.
5~6歳になると靭帯がしっかりしてくるのであまり再発は起こりませんが,一度肘内障が起こると繰り返すことが多いので,治ってもそのあとは手を強く引っ張らないように注意しましょう.