関節リウマチとは、慢性的な自己免疫疾患の一つで、体の免疫系が誤って自分自身の関節やその周辺組織を攻撃することによって引き起こされる病気です。
この病気は通常、手首、指、肘、肩、膝、足首などの関節を中心に炎症が発生し、関節が腫れたり、痛んだり、動かしにくくなったりする症状を引き起こします。さらに、関節リウマチは全身の疲労感や発熱、体重減少などの症状も引き起こすことがあります。
関節リウマチは、年齢や性別に関係なく発症することがあり、早期発見と治療が重要です。
■症状
・関節の腫れや痛み、こわばり(関節を曲げにくい感じ)
・こわばりは朝に起こることが多い
・手の指の第2関節(PIP関節)や手首、足の指の付け根などの関節から症状が出ることが多い
が、肘や膝、足首などにも腫れや痛みが出ることがある
・手の指の第1関節(DIP関節)から症状が始まることはまれ
・手のDIP関節から始まるほかの病気にはへバーデン結節などがある
・症状は特に朝起きてすぐや、関節に負担のかかる動きをたくさんした後に悪くなることが多い
・関節の痛みやこわばりで握力が弱くなる
〇関節の変形
手の指が小指側に傾く(尺側偏位)
手のPIP関節が普通と逆方向に曲がり、DIP関節が曲がった形になる(スワンネック変形)
手のPIP関節が曲がった形になり、DIP関節が普通と逆方向に曲がる(ボタンホール変形)
手の指を引っ張ると伸び縮みする
足の親指が人差し指側に傾く(外反母趾)
足の裏に痛みのある胼胝(たこ)ができる
膝が内側や外側に曲がる
関節を動かせる範囲が狭くなる
首の骨の変形(環軸関節亜脱臼)
変形した骨が脊髄を圧迫することにより首の痛みや手足のしびれが現れる
骨粗鬆症(骨がもろくなる)
腱鞘滑膜炎
指の腱が断裂して動かせなくなることがある
発熱(微熱のことが多い)
リウマトイド結節
皮膚に大きさ数cmほどの硬い塊ができる
痛みはない
肘・後頭部・手などにできやすい
目の炎症(強膜炎、上強膜炎)
強膜とは白目の部分にある白い膜のこと
痛み、充血など
貧血
関節リウマチはシェーグレン症候群(Sjögren症候群)と一緒に起こることがある
シェーグレン症候群の症状は目の乾燥・口の乾燥など
関節リウマチは間質性肺炎と一緒に起こることがある
症状は息切れ、空咳など
関節リウマチはアミロイドーシスの原因になることがある
腎アミロイドーシスによるむくみ、消化管アミロイドーシスによる下痢などを起こす
■発症原因
関節リウマチの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
・遺伝的な要因
遺伝子に関する研究から、関節リウマチは遺伝的要因が関与していることが示唆されています。
・免疫系の異常
関節リウマチは、免疫系が自分自身の組織を攻撃する自己免疫疾患の一種です。この異常な免疫反応が引き金となって、関節やその周辺の組織に炎症が起こります。
・環境要因
喫煙やストレス、紫外線などの環境要因が、関節リウマチの発症に関与する可能性があります。
これらの要因が複合的に作用して、関節リウマチの発症につながると考えられています。ただし、完全に明らかになっていない部分もあるため、今後の研究が求められています。
■検査・診断
関節の腫れや痛みがあるかなどを調べる
〇血液検査
炎症が起こっていないか、関節リウマチで出やすい特殊な物質がないかを調べる
関節の炎症:CRP、血沈(赤沈、ESR)
関節リウマチで出やすい物質:リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体、MMP-3
〇画像検査:骨の変化があるか、関節の滑膜という部分に炎症があるかなどを調べる
レントゲン(X線写真)検査
関節超音波(エコー)検査
CT検査
MRI検査
■治療手段
関節リウマチの治療には、炎症や関節の破壊を抑制するための薬物療法や、関節の動きや筋力を改善するための非薬物療法があります。
薬物療法には、以下のような治療薬があります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):痛みや炎症を抑える薬です。
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs):炎症を抑制し、関節の破壊を防止する薬です。
バイオロジック製剤:免疫系を調節するタンパク質を標的とする薬で、効果が高いとされています。
JAK阻害薬:免疫系を調節する薬です。
非薬物療法には、以下のような治療法があります。
理学療法:関節の可動域を改善し、筋力を回復させるための運動療法です。
栄養療法:炎症を抑えるための食事指導を行います。
治療法は患者さんの状態や症状に応じて個別に決定されます。また、治療は一度のみで終わるものではなく、継続的な管理が必要です。定期的な診察や検査を受け、医師の指導の下で治療を継続することが大切です。