外反母趾とは足指の変形のことで、母趾(足の親指)の付け根の関節が第二趾のほうに“くの字”に曲がったものをいいます。
母趾の関節は通常、外側の第二趾のほうに沿って曲がっていますが、この角度が20度以上のものを外反母趾とすることが一般的です。母趾の付け根の関節は足の内側に大きく突き出し、靴との摩擦で強い痛みが生じるため、歩行障害の原因になります。また、重症の場合には、母趾の付け根の関節が亜脱臼することもあり、手術が必要になることもまれではありません。
中年以降の女性に多く発症しますが、最近ではハイヒールが原因の外反母趾が20~30歳代の女性に多く見られます。
■症状
外反母趾の一番の原因は靴を履くことで、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと母指のつけ根から先が圧迫されて変形します。ヒールの高い靴はつけ根にかかる力が増えてさらに変形を強くします。
10歳代に起こるものは母指が人差し指より長かったり、生まれつき扁平足ぎみであったりする外反母趾になりやすい特徴があります。最も多い中年期のものは履物に加えて、肥満と筋力低下などによっておこります。
健常な足には縦のアーチだけでなく横のアーチがあります。外反母趾ではこれらのアーチが崩れて扁平足になると、中ほどにある母指の中足骨が扇状に内側に開き、それから先の指は逆に靴で外側に圧迫されておこります。
■発症原因
非遺伝的要因による外反母趾
先端が細い靴やヒールが高い靴を履いていることがよくあげられます。このような窮屈な靴を履くと、母趾が外側に曲げられます。この状態が毎日、長時間続くと、筋肉や関節包・靭帯などの伸縮力が悪くなり、関節の硬さ(拘縮)が生じるようになります。こうなると靴を履かない時でも母趾が外側に曲がった状態になり、外反母趾になってしまいます。
遺伝的要因による外反母趾
若年者にも多くみられます。扁平足や開張足、関節が柔らかい人や母趾の長い人が、外反母趾になりやすいといわれています。
特に扁平足や開張足では足のアーチ構造が崩れ、立位になると足の前の部分が全体的に扇状に広げられます。この場合、靴を履いたときに、広がった足先が靴先に圧迫されて外反母趾を誘発すると考えられています。
また、母趾が第二趾より長いと、靴の締め付けによって母趾が外側に屈曲した足型となり、外反母趾の誘因となります。
■治療
まずは、炎症・痛みの緩和目的に内服薬・湿布薬・リハビリを処方します。
リハビリでは、炎症緩和させる超音波治療機器や低周波治療機器を使用し、治癒を促進させます。
又、靴からの影響も考えられるため、靴外来やインソールの作製も検討致します。
【超音波治療機器】
【干渉波低周波治療機器】
【靴外来】
【理学療法士によるインソール作製】
それでも症状が落ち着かない場合は、手術を検討していきます。
一般的に行われる手術では、関節の突出部を切除し、母趾のつけ根の骨を切って関節の突出を矯正します。病変が重度であっても関節機能を温存する術式を選択するのが一般的ですが、関節の構造が破壊されている場合は、関節固定術が行われることもあります。