骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気です。なので予防にあたっては「骨密度」を中心に考えられていました。
しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)※」に違いがあることが明らかになってきました。そこで、骨粗鬆症の定義は「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」とあらためられ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明されるようになりました。つまり骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。
日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。女性に多いと言われております。
骨粗鬆症骨質 画像

骨粗鬆症には詳細に分けると3種類に分かれます。

○原発性骨粗鬆症
加齢や生活習慣の乱れ、閉経などが原因で起こる骨粗鬆症です。高齢になると骨を形成するスピードが落ちるため、骨密度が低下して骨粗鬆症を発症しやすくなります。また、生活習慣の乱れも発症の原因になります。
食事のバランスが悪いと骨を形成するために必要なカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどが十分に摂れなくなります。さらに、運動不足によって骨への刺激や負荷が少なくなると、骨量が落ちてしまいます。
特に、女性の場合は閉経によって女性ホルモンのエストロゲンが減少することで骨粗鬆症を発症しやすくなります。

○続発性骨粗鬆症
骨を弱くする原因となる疾患や、薬などによって引き起こされる骨粗鬆症です。副甲状腺機能亢進症やバセドウ病、性腺機能低下症などの内分泌系の疾患のほか、運動器や内臓疾患、糖尿病などの生活習慣病が主な原因となります。
これらの疾患が原因の場合は、治療と同時に骨粗鬆症の予防や対策を進める必要があります。また、ステロイドの長期服用は骨の形成を促すホルモンの分泌を減少させ、これが原因で骨粗鬆症を発症することもあります。

○特発性骨粗鬆症
原発性や続発性のように加齢や疾患などが原因ではなく、突発的に起こって急激に進行する骨粗鬆症です。「妊娠後骨粗鬆症」が代表的なものです。
これは妊娠や授乳に伴う一時的な骨粗鬆症ですが、産前産後の長引く腰痛が、実は骨がもろくなったことが原因の腰椎圧迫骨折だということも少なくありません。
妊娠中や授乳中は胎児へカルシウムを供給するため、おのずと母体のカルシウムは減少します。

■症状
・ちょっとした衝撃で骨折をしてしまう。
・骨密度の値が極度に低いと痛みを伴うこともあります。
骨粗鬆症になると骨折しやすい部位は以下の4つになります。
・背骨(脊椎圧迫骨折)
・太ももの付け根(大腿骨近位部骨折)
・腕の付け根(上腕骨近位端骨折)
・手首(橈骨遠位端骨折)
・脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折

■発症原因
骨を壊す細胞と作る細胞のバランスが崩れることで起こります。
人間の骨は常に新しく生まれ変わり(骨の吸収と骨の再生が繰り返されている)、骨を壊す細胞は古くなった骨を溶かし、骨を作る細胞は新しく丈夫な骨を作っています。新鮮で丈夫な骨を保つバランスが崩れて、骨を壊す細胞が強くなると骨粗しょう症が起こります。

バランスが崩れる原因として
・女性ホルモンの低下
女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」というホルモンは、骨を壊す細胞を抑える働きをしています。加齢とともにエストロゲンの働きが弱くなると、骨を壊す細胞が強くなり骨がもろくなるため、閉経後の高齢女性で多く見られます。
・カルシウムやビタミンDの不足(ビタミンD欠乏症)
・薬の副作用(ステロイドの長期使用など)
・骨の病気(関節リウマチ、多発性骨髄腫など)
・ホルモンの病気(副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など) など

■検査法
骨密度検査
○DXA法
エネルギーの低い2種類のX線を使って測定。全身のほとんどの骨を測ることができます。 一般的に腰の骨(腰椎)や脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を正確に計測して表わされます。
※前腕のみのDXAもあります
骨密度 DXA法
当院ではDXA法を用いて検査を行います。

○超音波法
かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。 骨粗鬆症の検診に用いられることが多く、X線を使用していないため、妊娠中の方でも測定することができます。
骨粗 超音波法
※超音波法では足の骨密度しか測定できません。
○MD法
X線を使って、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定します。
骨粗 MD法
※超音波法では手の骨密度しか測定できません。

※骨密度は部位により密度が違うため、詳細に調べられるDAX法をおすすめ致します。

血液・尿検査
骨代謝マーカーという検査により、骨の新陳代謝の速度を知ることができます。骨代謝マーカーは血液検査、尿検査によって測定されます。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いことから、骨密度の値にかかわらず骨折の危険性が高くなっています。 この検査は、骨粗鬆症を他の病気と区別するためにも行われます。

骨粗 マーカー

■診断基準
骨密度検査によりYAM値(若年成人平均値)が70%を下回ると骨粗鬆症となります。70%~80%は骨量減少症となります。80%以上の方は正常の値となります。

■治療手段

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